平家物語ゆかりの史跡が点在する須磨。郷土史愛好家グループ「須磨歴史倶楽部」で史跡案内のボランティアや歴史講座「須磨学」の講師を長年務める。
歴史に没頭するきっかけは、学生時代。高校卒業後、予備校に通っていたある日、授業で講師が平家物語に触れたことが耳に残った。「本の内容は一通りではない。」同じ平家物語なのになぜ、と好奇心がそそられた。
大学の国文学科に進学し、全国の図書館や神社を巡って史料を集め、写本を写真に収めた。源義経の「逆落とし」の場所など、本によって描き方が全く違うことに驚いた。
大学で教員免許を取得し、出身校に就職した。だが、6年間勤めた後に「もっと深く研究したい」と、大学院に進んだ。平家物語の諸本を読み込み、内容の違いごとに本を分類する作業などに奔走。「ひょっとしたらまだ新しい史料が眠っているかもしれない」。現在も勤務する兵庫大学附属須磨ノ浦高校に就職した後も研究を続けた。
須磨の歴史を広く紹介する活動を始めたのは約30年前。知り合いから「平家物語の研究をしているのだったら、須磨との関連を伝えてはどうか」と声を掛けられ、講演などを始めた。2003年にはNHK大河ドラマ「義経」の放送を前に、須磨区役所が史跡ツアーを企画。ガイド役を担う人たちと須磨歴史倶楽部を立ち上げた。
須磨にまつわる和歌を集めた「須磨百首かるた」の復刻などにも取り組んできた。「須磨の歴史もまだまだ分からないことばかり。活動にゴールなんてない」と探究心が尽きることはない。垂水区在住。(大橋凜太郎)